以下、この発明の実施形態について説明する。
この実施形態に係る飲料水用改質剤は、水に硫酸亜鉛または塩化亜鉛を、
亜鉛が100~3,000mg/L(ppm,part(s) per million)の割合で含まれるように溶解させたものである。
飲料水としては、例えば、水道水、井戸水、ミネラルウォーター等が挙げられる。
飲料水用改質剤は飲料水に添加されるので、硫酸亜鉛の溶媒としての水も飲料水としておけばよい。
飲料水用改質剤を飲料水に添加して改質飲料水とする際に、飲料水用改質剤を飲料水で
1,000~10,000倍(体積比)に希釈すれば、改質飲料水には亜鉛が0.1~0.3mg/Lの割合で含まれる。
亜鉛をこのような割合で改質飲料水に含ませておけば、改質飲料水を1日に10L飲んだ場合でも、
亜鉛の1日当たりの摂取量を1日当たりの許容上限摂取量(30mg)の1/30~1/10にできるので、
改質飲料水を他の水道水やミネラルウォーター等の飲料水と同様に飲料用に使用できるという利点がある。
また、亜鉛は制菌効果を有するので、亜鉛を上記の割合で含む改質飲料水に十分な制菌効果を付与できるという利点がある。
なお、飲料水用改質剤には、必要に応じて、硫酸マグネシウム、硫酸銅、硫酸モリブデン等を溶解させておくこともできる。
この場合、例えば、水道水に硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸銅、硫酸モリブデンを、
亜鉛が1,500mg/L、マグネシウムが15,000mg/L、銅が150mg/L、モリブデンが1,5mg/Lの割合となるように
それぞれ溶解させて飲料水用改質剤を調製し、得られた飲料水用改質剤を水道水で5,000倍(体積比)に希釈し、
改質した水道水を飲料用に供すれば、改質した水道水を1日に10L飲んだ場合でも、
亜鉛、マグネシウム、銅、モリブデンの1日当たりの摂取量を1日当たりの許容上限摂取量
(亜鉛:30mg、マグネシウム:130~700mg、銅:9mg、モリブデン:60~250mg)とほぼ同じか又は少なくできる。
このように、飲料水用改質剤によれば、飲料水にミネラル成分としての亜鉛を安定的に含ませることができると共に、
飲料水に十分な制菌効果を付与できるという利点がある。
ここで、飲料水用改質剤に、必要に応じて、硫酸アルミニウムや硫酸鉄からなる無機凝集剤を含ませておけば、
飲料水中の有機物や不純物を凝集させることができるので、飲料水を浄化できるという利点がある。
しかも、微生物の餌となる有機物が凝集により除去されるので、制菌効果をより高めることができる。
この場合、改質飲料水は、フィルター(孔の直径:1μm)等でろ過することにより、凝集物をろ別しておくのが望ましい。
また、飲料水用改質剤は、天然鉱石を硫酸で溶解、抽出した水溶液を含むものであってもよい。
この場合、天然鉱石が10~20重量%の割合となるように10~40%硫酸で溶解、抽出するのが望ましい。
また、抽出した水溶液だけでは亜鉛の割合が少なければ、適当量の硫酸亜鉛等を別途添加すればよい。
このように、原料に比較的安価な天然鉱石を使用できるので、コストダウンを図ることができるという利点がある。
なお、このような天然鉱石は特に限定されるものではないが、例えば、緑泥石(クロライト)を主要構成鉱物とする
ナキジン変成岩(ナキジンクロライト)等を好適に使用できる。